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2026年後半のLLM動向: この数か月の進化を振り返る

ここ数週間で、気になるモデルの発表が続いています。OpenAIからは、Sonnet 5.5に近い能力を半分のAPI単価で使えるGPT-6.1 Terra。Googleからは、GPT-6 AstraやClaude Opus 5.5と競うGemini 4 Argonに続き、約1か月でさらに性能を伸ばしたGemini 4 Carbonです。中国からも、Opus 5.5やAstraに迫る性能をうたうKimi K3.1 Proが出てきました。

この数か月でだいぶ動きがあったので、まず最新の発表で現在地を確認し、そこまでの移り変わりを振り返ってみます。そのあとに、私のコーディング環境と思考がどう変わったか、最後に、進化の速い道具や、自分で作った仕組みとの付き合い方について少し。発表を読むたびに装備を買い替えている気もするので、いったん手持ちを整理してみます。

現在地:最新モデルは、何を競っているのか

直近の三つの発表から、それぞれが何を強みにしているのかを見てみます。料金は100万トークンあたりのAPI単価で、キャッシュなし入力/出力の順です。

Gemini 4 Carbon:Googleも性能の上限を競う

10月28日のCarbon発表では、①総合的な知的能力、②エージェントによる開発、③画面操作、④知識業務、⑤マルチモーダル理解、⑥長文脈理解、⑦科学・数学、⑧サイバーセキュリティの8分野を、複数のベンチマークで評価しています。

主な比較対象は、約1か月前に発表されたArgonに加え、GPT-6 Astra、Claude Opus 5.5、Claude Fable 5.1です。公式の比較表では、17指標のうち15で掲載モデル中の最高値を示しています。一部の開発指標ではAstra、画面操作ではOpus 5.5が上ですが、幅広い用途で最上位を競うモデル、という打ち出しです。

長い間 Flash系の更新のみでしたが、Argon、Carbonと続き、Googleも性能上限の競争に入ってきました。

導入価格はArgonと同じ、入力$2/出力$10。導入期間の終了後は$4/$20となる案内です。ただし、まずは一部のサイバー防御関係者からの限定提供で、一般提供日は未発表です。

GPT-6.1 Terra:Sonnet 5.5との比較で見る低価格モデル

10月26日のGPT-6.1 Terra発表は、費用や速さを強調した発表です。

普段使いの比較相手として気になるのはSonnet 5.5です。Terraは入力$1/出力$5で、Sonnetの$2/$10の半額。総合評価ではSonnet 5.5 に及ばないものの、低い単価で回せるモデル、という見方が近そうです。

評価会社Artificial Analysisの比較では、総合指数はTerraが約51、Sonnetが約54でした。両者とも最大思考量での比較で、SonnetはDefault Fallback設定の結果です。一方、実際のリポジトリのコード修正を測るFrontierCode 2.0では、42.3%対41.7%とほぼ互角です。OpenAIも、Sonnetが開発や画面操作で上回る比較を掲載しています。一方、Agents’ Last Examという評価では、Sol・Astraより作業を3倍超速く終えることや、Opus 5.5よりタスク費用が低いことを訴えています。

GPT-6 Sol・Luna、続いて6.1 Solが出るなかで、Terraは5.6のままでした。てっきり Sonnet 5.5 より高性能で同価格帯のものが出てくるのかと思っていたので、少し残念です。しかし、強みもあるので、どれだけ使えるのか試してみようとは思います。Agentic なコーディングは Sonnet 5.5 と要比較、画面操作(ブラウザ、動画編集、CADなど)は期待といった感じかな。

Kimi K3.1 Pro:米国勢にも、中国勢の上位にも比較を向ける

10月23日のKimi K3.1 Pro発表では、Astra・Opusに加え、中国勢のDeepSeek V4.1 FlashやGLM-5.3との比較も出しています。

Kimiの公表値では、開発や知識業務の一部でOpus 5.5やAstraに迫り、上回る項目もあります。比較対象のGLM-5.3やDeepSeek V4.1 Flashにも、複数の指標で差をつけています。

一方、DeepSeek V4.1 Flashのコスパは、やはり別格に見えます。9月の発表では、GPT-5.6 SolやOpus 5と競える指標もありました。しかも、ピーク時間でも入力$0.30/出力$1.20で、オフピークはさらに半額です。最新の最上位モデルに全面的に並ぶわけではなくても、この価格ならまだまだ出番がありそうです。

「中国製モデルは少し性能を譲る代わりに安い」という見方だけでは、捉えきれなくなってきたのかな、という印象です。

ここ数カ月の動き:上位の能力が、普段使いの価格へ

6月下旬にGPT-5.6 Solが登場するころまでは、性能で先行するAnthropicをOpenAIが追い、Googleは安さや自社サービスとの連携で勝負しているように見えていました。その後は各社が、性能の上限を伸ばす一方で、上位に近い能力を安く使えるモデルも増やしています。会社ごとに振り返ってみます。

Anthropic:性能の上限を伸ばし、普段使いへ広げる

4月のMythos Previewから、6月のFable・Mythos 5へ。最上位の能力に注目していましたが、Fableの$10/$50を普段の実装で使うのは、なかなか勇気がいります。その後、6月末のSonnet 5は一部でOpus 4.8級の能力を$2/$10で、7月のOpus 5はFable 5に近い能力を半額の$5/$25で提供しました。

9月にはFable・Mythos 5.1で上限を伸ばしつつ、Opus 5.5は多くの仕事でFable 5.1級の能力を$4/$20へ。Sonnet 5.5も$2/$10を据え置いて性能を伸ばし、10月のHaiku 5.5は大量処理向けの価格帯を強化しました。OpenAIや中国勢が迫るなか、最上位の能力を普段使いへ広げてきた印象です。

開発者にとっては、Claude Code はやはりハーネスとしての機能性が高く、魅力的です。私は、あまりベンダーロックインされたくないという思想が強いんですが。便利さの前では、思想もなかなか脆いです。

OpenAI:性能を追いながら、価格帯を広げる

6月下旬に限定公開され、7月に一般提供されたGPT-5.6 Sol・Terra・Lunaは、能力と価格を三階層に分けた展開でした。SolはFable 5に迫り、一部の業務では上回る結果に。その後も値下げが続き、9月のGPT-6 Astraでは、Fable 5.1やOpus 5と性能の上限を競っています。

同じ9月のGPT-6 Sol・Lunaは、Solが$2/$10、Lunaが$0.10/$0.50へ。続くGPT-6.1 SolはAstraに迫る能力を5分の1の単価で、10月のGPT-6.1 TerraはSonnet 5.5やSolの半単価となる$1/$5で提供しました。

OpenAI は基本的に Anthropic よりも安く LLM を提供している印象ですが、この1か月くらいは Sonnet 5.5 の登場でこのイメージが少し崩れました。

Google:Flash系の更新から、性能上限の競争へ

7〜9月はGemini 3.6→3.8 Flashの更新が続き、導入単価$0.75/$3.75を維持しながら性能を向上。3.8では一部の開発試験でOpus 5や5.6 Solに近い結果を示しました。Google は長い間マルチモーダル性(画像・動画・音声)を押しており、そこが強みでもありましたが、ここの差もどんどんと縮んできている印象です。それでも、まだある程度の数の動画を解析するとなったら 3.8 Flash を検討するかなぁ。

9月末のGemini 4 ArgonはAstraやOpus 5.5などと比較し、10月にはGemini 4 Carbonでさらに性能を伸ばしました。ともに導入価格は$2/$10で、終了後は$4/$20。安さや連携に加えて、性能の上限を競う動きも強まった印象です。

中国勢:低価格の選択肢から、最上位との競争へ

4月のDeepSeek V4-Pro・Flashは、公開ウェイトと低価格で気になる存在でした。Proは発売時$1.74/$3.48から割引で$0.435/$0.87へ下がり、その価格のまま5月に恒久化されました。性能比でバグっている価格だったので、かなり話題になりましたね。6月のGLM-5.2も一部の長時間開発でOpus 4.8に迫り、上位に近い能力を安く使う選択肢が増えました。

7月のKimi K3はFable 5や5.6 Solに迫る能力を掲げ、8月にはQwen3.8-Max、GLM-5.3と更新が続きます。GLM-5.3-Flashは画像理解にも対応し、通常$0.15/$0.50でGLM-5.2を上回ると訴求。9月のDeepSeek V4.1 Flashも、ピーク$0.30/$1.20という低い単価のままで開発・業務の能力を伸ばしました。

一方、10月のKimi K3.1 Proは、最新のAstraやOpus 5.5にも迫る性能を掲げ、単価はK3の$3/$15から$2/$10へ。上でも述べましたが、「中国製モデルは少し性能を譲る代わりに安い」という見方だけでは、捉えきれなくなってきています。

こうして見ると、各社が一斉に同じ方向へ切り替わったというより、性能と価格の両方で、互いの得意な領域との差を埋めてきたように見えます。

私の開発セットアップの変遷

ここでちょっと私の開発手法の振り返りです。

6月頃まではClaude CodeやCodexを使い、利用枠が足りなくなるとGoogle の Antigravityへ、というように複数の道具を行き来していました。OpenClawやHermes Agentに安いモデルを組み合わせる使い方も気になって試していましたが、セキュリティ面の心配が残り、日常の開発はClaude CodeやCodexでよいか、となりました。

ただ、このあたりからコストが気になるようになり、中国製モデルも話題になっていたのでDeepSeekやGLMについて調べた結果、OpenCodeというハーネスで Thinker と Implementer という2種類のエージェントを定義し、OpenAIの上位モデルをThinkerに、DeepSeekやGLMをImplementerにする構成に落ち着きました。Thinkerと対話しながら調査して実装の骨格まで詰め、GitHub Issueに落とし、Implementerが実装するといった感じです。

このあたりから、自分なりのループエンジニアリングについて考えるようになりました。開発用の Skill やサブエージェントの定義を専用リポジトリで整備し、計画・実装・レビュー・修正に加えて、うまくいかなかった原因を指示や手順に戻すところまで含めて逐次改善しています。

いろいろとモデルを変えながら、1か月くらいはこれをメインで使っていたと思います。GLM-5.2や、その後の5.3-Flashなどを試し、別の選択肢としてGemini Flash系も使っていました。ただ、不満もいくつかあって、安いモデルの動作が安定しなかったり、画像が入力できなかったり、スマホからのリモート操作が面倒だったり(herdr + Tailscale でやってました)、あたりです。

その後は各社から性能が十分で安価なモデルが出たことと、ハーネスやスマホアプリの完成度の高さから Claude Code や Codex に移行することにしました(Claude Code や Codex にはリモート接続機能があって、PC の作業をスマホアプリから操作可能)。エージェントの Thinker/Implementer 構成は変わっていません。

私の記憶では、GPT-5.6 のころから徐々に Codex 中心になり、Sonnet 5.5でClaude Codeの利用が増えました。今はTerraを機にCodexの比率を少し戻し、Googleの発表も見てAntigravityも試してみようか、と考えています。

基本は各社の月20ドル前後のサブスクで、足りないときにたまに追加する形です。簡単なWebアプリをいくつか作る程度では、それで十分でした。一社に全部寄せないのは、ベンダーロックインを避けたいことと、いろいろなものに触れておきたいという理由です。一方で、ハーネスの機能を使いきりたい気持ち(特に Claude Code)もあるのですが。

作り込んだ仕組みを、どこまで持ち続けるか

こうして振り返ると、モデルの性能や価格が変わるたびに、自分の開発環境も選び直していました。以前は意味のあった工夫が、新しいモデルやハーネスの機能で不要になることもありそうです。作り込んだ仕組みを、ずっと維持することがよいとも限りません。

最初はベンダーへの依存を避けたくて、OpenCode、Codex、Claude Code、Antigravity のどれでも使える手順を中心に作っていました。ハーネス固有の機能を前提にしすぎない方針です。ただ、ループエンジニアリングを実践するなかで、固有の機能を使う便利さも実感しています。最近は、そのあたりの縛りを少し緩めて使うようになりました。

それでも、モデルの性能や価格だけでなく、ハーネスやアプリの使いやすさまで含めて、そのときよい環境を選びたい気持ちは変わりません。便利な機能は使いたい。でも、次にもっとよい選択肢が出たときに、乗り換えるコストが高くならないようにもしておきたい。この加減は、まだ試行錯誤中です。

モデルの性能差は縮まってきた気がしますが、私のサブスクは増えるばかりです。


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